パニツムマブ(商品名:ベクティビックス)
今回は分子標的薬であるベクティビックスのおさらいをしたいと思います。
1.作用機序
パニツムマブは EGFR とリガンドとの結合阻害を介し、受容体自己リン酸化を阻害することによって、細胞増殖の抑制、アポトーシスの誘導、炎症性サイトカイン産生の抑制、血管増殖因子の産生抑制及び受容体の内在化を誘導して腫瘍増殖を抑制します。
2.効能効果
KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん
3.用法用量
2週間に1回、6mg/Kgを60分以上かけて点滴静注します。
4.希釈液について
生理食塩水で溶解します。
5.主な副作用
ざ瘡様皮疹、皮膚乾燥、発疹、掻痒、爪囲炎、低Mg血症、疲労、口内炎、食欲不振、紅斑など
6.低Mg血症について
パニツムマブによる低Mg血症、低K血症、低Ca血症が報告されています。
低Mg血症に起因する、低K血症や低Ca血症は重篤化する恐れがあるので注意が必要です。
①発生機序
腎臓の糸球体でろ過されたMgは、ヘンレ係蹄上行脚で約70%が再吸収されます。
EGFは基底膜に存在するEGFRに結合し、Mg-TRPM6(transient receptor potential cation channel subfamily member 6)と呼ばれるチャネルたんぱく質を介して、遠位尿細管からのMgに能動的再吸収を促進します。
EGFR阻害薬が投与された場合、Mgの再吸収が阻害され尿への排泄が増加し、低Mg血症が阻害されると考えられています。
②対処
酸化マグネシウムの内服、硫酸Mgの点滴での投与
7.投与時の注意
0.2または0.22ミクロンのインラインフィルターを使用すること。
本剤は60分以上かけて点滴静注すること。
※1回投与量として1000㎎を超える場合は、生理食塩水で希釈し薬150mlとし、90分以上かけて点滴静注すること。